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PMS(月経前症候群)・PMDD

生理痛や生理のトラブル

腹痛近年は妊娠や出産の回数が減少しているため、生涯の生理回数も増加傾向にあります。また、近年の食生活や生活環境など社会環境の変化によって、生活習慣の乱れや過度なストレスの蓄積などを引き起こし、慢性的な冷え性やホルモンバランスの乱れ、排卵障害などによって生理のトラブルを起こしやすくなっています。

生理に関するお悩み

  • 生理痛(月経困難症)
  • 生理不順
  • 不正出血がある
  • 量が増える、量が減る、期間が長い
  • 生理時期の不定愁訴、月経前緊張症候群(PMS)

対処法

生理の痛みや量などの症状は他の人と比べる事が難しいので、痛みがとても強い場合も、それが普通だと思い込んで我慢してしまう方が多くいらっしゃいます。市販の痛み止めを内服してもコントロールできないほど痛みが強い場合は早めに対処すべき病気が隠れていることもありますので、一度婦人科を受診されることをお勧めします。生理に関するトラブルの原因は様々です。子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気が隠れていないかを超音波検査や内診で確認し、採血でホルモンのバランスなどを調べます。どこまで詳しい検査が必要かは個人差がありますので、ご相談の上決定しています。
必要な検査を実施した上で適切な治療方針を検討します。痛み止めの薬や漢方薬による対症療法で経過観察をすることもありますし、低用量ビル、ディナゲスト、ミレーナなどのホルモン治療で症状の改善を図るべき場合もあります。薬による治療では症状が改善されない時には、手術療法が必要となる場合もあります。
一人ひとりの症状やライフステージなどにより選択する治療法は異なりますので、お困りの症状について詳しくお伺いし、継続可能で、効果的な治療法を検討します。

PMS(月経前症候群)とは

PMS(月経前症候群)は、月経前3~10日間の黄体後期に身体的・心因的な様々な症状を引き起こします。また、そのほとんどは月経が開始すると自然に治まっていく傾向があります。このような状態が3ヶ月以上続き、日常生活に支障が起こるほどの症状が現れている場合には、月経前症候群(PMS)と診断されます。
月経前症候群(PMS)では、生理前にイライラする、過度に食欲旺盛になる、肌が荒れる、気分が落ち込む、腹部が張るなどの症状が現れます。

PMS(月経前症候群)の原因

月経前症候群(PMS)の原因は明確には明らかになっていませんが、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの異常が関与していると考えられています。これらが異常を起こすと、身体的、心因的に様々な症状を引き起こすようになり、特に月経前の黄体期には様々な症状が現れるようになります。

PMSの症状と診断基準

PMS症状 診断基準

身体症状
・乳房の張り・痛み
・腹部膨満感
・頭痛
・関節痛・筋肉痛
・体重増加
・むくみ
・のぼせ
・倦怠感

1. 月経前5日間に左記のような症状のうち1つ以上発症し、
それが連続3回の月経周期で持続している

2. 左記のような症状が月経前に現れ、月経開始後4日以内に自然治癒し、
13日目まで再発しない

3. 症状の原因はアルコールの使用や薬物療法によるものではない

4. その後2周期にわたり症状が再度現れる

5. 左記のような症状で日常生活に支障がある

精神症状
・抑うつ
・イライラする
・不安
・混乱
・引きこもる
・情緒不安定
・集中力低下

PMSとPMDDの違いは?

PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSの中でも特に心因的な症状が現れ、通常の生活を送ることが困難な状態を指します。生理前1~2週間の期間に以下のような症状が現れます。

  • 感情の制御が困難になる
  • 気分が落ち込み、深い悲しみや絶望感に襲われる
  • 過度な緊張感や不安感に襲われ、パニック発作を起こす
  • 攻撃性が増し、暴力的になる
  • 寝つきが悪く、過剰に寝てしまうなどの睡眠障害を起こす
  • 集中力が低下し、細かい作業が行えない
  • 食欲旺盛になる
  • 激しい疲労感が生じる

PMSの治療・対処法

薬を使わない治療

PMSは生活習慣を改善することで症状が和らぐこともあります。ご自身の症状について詳しく把握しておくことが大切です。
まず、自身の症状の発症時期や内容などの詳細を記録してみましょう。それにより、現れている症状がPMSによるものか、他に原因があるかをある程度特定することができます。症状がPMSによるものである可能性が高いと判断された場合には、食事習慣の改善や十分な睡眠時間の確保、適度な運動習慣の取り入れ、カフェインやアルコールなどの刺激物の節制、禁煙、ストレス解消などの生活習慣改善を心掛けることで症状が改善する方もいらっしゃいます。

薬物療法

ピル生活習慣の改善だけでは不十分な場合には、薬物療法が検討されます。PMSは排卵による女性ホルモン分泌の変動で症状が現れるため、排卵を抑えるタイプの薬を使用して女性ホルモン分泌を安定させます。使用する薬は、主に低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)などで、これらは服用期間中だけ排卵を止め、妊娠希望になった場合には服用をやめれば妊娠も可能なので、妊娠前の年齢の方でも比較的使いやすい薬です。副作用として嘔気や不正出血などの症状が使い始めからしばらくの間出ることがあります。嘔気や不正出血の副作用が出た場合でも、多くの場合は3か月以上継続して使用していくと、それらの症状は次第に落ち着いてきます。
血栓症も注意すべき副作用ですが、頻度としては妊娠中の妊婦さんが血栓症になる確率よりもかなり低い確率なので、心配しすぎる必要はありません。
LEPはPMSの症状に対して効果的な治療薬の一つですので、怖がりすぎずに、症状にお困りの際は一度ご相談下さい。安心して使用できるようにご説明をしています。また、ホルモン治療だけでなく、様々な症状に対して、鎮痛薬や漢方薬などを処方し、対症療法で症状緩和を図ることもあります。精神症状が強く出ている場合には、精神科や心療内科の専門医の受診をお勧めすることもあります。

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PMDD(月経前不快気分障害)
とは

腹痛PMSのうち、気分が落ち込む、イライラする、怒りっぽくなる、極度な不安感に襲われるといった心因的不調により日常生活に著しく支障をきたしている状態を月経前不快気分障害(PMDD)と言います。
PMDDの症状は月経開始の数日前から始まり、突然抑うつ感や不安感に襲われたり攻撃的になったりするなど、感情が不安定になります。これらの症状は月経開始の数日後には自然消失していきますが、次の月経の直前になると再び現れるようになります。
自身で感情のコントロールが行えるレベルであれば問題ありませんが、日常生活に支障がある場合には、我慢せずに当院までご相談ください。患者様の詳しい状態を確認した上で、最適な治療をご提案いたします。

PMDDの原因

PMDDの原因は明確に明らかになってはいませんが、女性ホルモン分泌のバランスが乱れることが起因していると考えられています。

PMDDの症状

  • 激しい不安感や緊張感に襲われる
  • 激しい鬱状態や絶望感に襲われる
  • ちょっとしたことでイライラしたり怒りっぽくなる
  • 性格が攻撃的になる
  • 集中力や判断力が低下する
  • ひどく傷つきやすくなる
  • 悲壮感に襲われ、涙を流す
  • 何事にも無関心になる
  • 情緒不安定になり、日常生活に支障をきたす
  • 外出や人との接触が困難になり、引きこもりやすくなる
  • 過眠・不眠などの睡眠障害を起こす
  • 食欲旺盛になる
  • 性欲が旺盛になる、あるいは減退する
  • 激しい疲労感に襲われる
  • 慢性的な倦怠感がある
  • 下腹部が張る、重い、痛みを発する
  • 乳房が張る、痛みを発する
  • 頭が重い、頭痛がする
  • 便秘になる
  • 手足がむくむ
  • 絶望的になり、自殺衝動に襲われる

PMDDとうつ病の違い

PMDDとうつ病は症状が類似していますが、異なる病気です。うつ病は月経周期に関わらず慢性的に気分が落ち込んだり無気力・無関心に陥ったりしますが、PMDDは月経開始の数日前から症状が現れ始め、月経開始の数日後には自然に症状が軽快する特徴があります。これは、PMDDが排卵によるホルモンバランスの変化によって起こるためです。
従って、症状の発症時期を記録することで、PMDDとうつ病の鑑別を行うことができます。

PMDDの治療・対処法

薬を使わない治療

PMDDの症状や病態への理解を深めることで症状が和らぐこともあります。
また、食事習慣の見直しや十分な睡眠の確保、適度な運動習慣の取り入れ、ストレスの解消などの生活習慣の改善を心掛けることも大切です。

薬物療法

生活習慣の改善などで十分な効果が見込めない場合は、精神科や心療内科を受診することをお勧めしています。症状が強い場合には、薬物療法による治療が適用されます。精神神経症状や自律神経症状の改善には、精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(SSRI)、漢方薬などが有効で、患者様の状態や症状などを総合的に鑑みて最適な薬を選択します。
また、PMDDは女性ホルモン分泌の変動が原因であると考えられているため、精神科や心療内科の先生と協力しながら、婦人科では、低用量ピルなどのホルモン剤を使用して女性ホルモン分泌を安定させる治療を検討することもあります。

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